シミュレーションニュースJSST
2012年1月27日号:日本シミュレーション学会(JSST)
日本シミュレーション学会からニュースレター「シミュレーションニュースJSST」を発行することになりました。学会活動やシミュレーション技術に関する情報をお届けします。(広報委員会)
シミュレーション辞典 2012年1月末発刊予定(30周年出版委員会)
日本シミュレーション学会30周年記念の企画として,学会の総力をあげて,『シミュレーション辞典』を編纂いたしました。企画構想から2年余りを経て2012年1月末の発刊予定です。周知のとおり,科学・技術、社会・経済活動あるいは人間生活にとってシミュレーションはいまや欠かせないものとなりました。その結果として,対象範囲が非常に広くなり,シミュレーションの基礎から始まって,各分野への展開が一望できる書籍が望まれておりました。本シミュレーション辞典は,この分野の中項目辞典として,その要望に応える画期的なものであると考えております。・・・委員長 大石進一第30回日本シミュレーション学会大会(JSST2011)が開催されました(国際委員会)
今後の国際化を睨み英語セッションを充実しました。英語セッションには128件の参加があり、海外からの参加者も多く盛況でした。
2011年10月22日-23日 東海大学高輪キャンパス
英語セッション :128件
日本語セッション: 24件
特別講演
「Intraoperative Imaging and Surgical Technique in the Field of Neurosurgery」
松前光紀 教授、(東海大学医学部) 「Hybrid Dynamical Systems Modelling and Simulation
on Hormone Therapy of Prostate Cancer」
合原一幸 教授 (東京大学)
第31回日本シミュレーション学会大会(JSST2012)開催について(国際委員会)
2012年9月27日‐28日に、神戸ポートランドの神戸大学及び兵庫県立大学にて開催する予定です。 詳細は決まり次第お知らせします。日本シミュレーション学会の理事会と研究委員会
- 理事会
会長:小山田 耕二
副会長:田中 覚、宮本 良之
監事:堀端 康善
理事21名・・・15委員会を構成し活動しています。 - 総務グループ
庶務委員会 理事会運営に関すること・総会運営に関すること
広報委員会 ホームページ・MLの運用に関すること
会員制度委員会 会員制度に関すること・名誉会員・フェローの推薦に関すること
学会賞選考委員会 学会賞選考に関すること
将来検討委員会 将来構想に関すること・他学会(横幹連合含む)との連携に関すること・
財務委員会 財政健全化に関すること・法人化に関すること
戦略委員会 世界にインパクトを与えられる学会となるための戦略立案に関すること - 編集グループ
英文誌編集委員会 英文論文誌査読・出版に関すること・電子化に関すること
学会誌編集委員会 学会誌編集・出版に関すること・電子化に関すること
和文誌編集委員会 和文論文誌査読・出版に関すること・電子化に関すること - 事業企画グループ
企画委員会 主催イベント企画・運営・実施に関すること
国際委員会 国際会議企画・運営・実施に関すること・アジアシミュレーション連盟に関すること
研究会委員会 研究委員会の設置・廃止・評価に関すること
30周年出版委員会 シミュレーション辞典出版に関すること
産学連携委員会 賛助会員増強・賛助会員間連絡に関すること・産学連携プロジェクト設置に
関すること - 研究委員会(8委員会)
精度保証付シミュレーション技術研究委員会
多次元移動通信網研究委員会
シミュレーションソフトウェア分野別調査研究委員会
安全安心シミュレーション研究委員会
電磁界解析プログラムの並列化技術研究委員会
可視化・シミュレーション技術研究委員会
脳の機能とメカニズム研究委員会
ナチュラルバイオコンピューティング技術研究委員会
会長紹介
小山田 耕二京都大学高等教育研究開発推進機構情報メディア教育系
会長就任にあたって
精度保証付シミュレーション技術研究委員会
委員長 大石進一(早稲田大学),幹事 荻田武史(東京女子大学),尾崎克久(芝浦工業大学)精度保証付シミュレーション技術研究委員会は,精度保証付き数値計算法をシミュレーション技術に応用し,シミュレーション技術の品質を保証して信頼性を向上させることを目的としている.具体的な活動内容としては,毎年,学会大会でオーガナイズドセッションを企画・開催している.また,当研究委員会の参加メンバは,本学会主催の国際会議にも積極的に参加している.2008年には,研究委員会の枠を超えて,日本応用数理学会と連携し,首都大学東京でJSIAM-JSST連合発表会を開催した.これは,他学会との交流を深める新しい試みであった.
当研究委員会が取り扱っている研究内容の概要を紹介する.物理現象などをモデル化して現れる方程式を数値計算によって解き,その現象のシミュレーションを行うことを数値シミュレーションというが,その中では様々な誤差が発生している.実際の現象を数理モデルとして方程式で記述するときのモデル化誤差,方程式を計算機上で解ける形に帰着するために差分法や有限要素法などで離散化するときの離散化誤差,計算機における有限桁計算に伴う丸め誤差,線形方程式を反復計算で解く場合の打ち切り誤差などである.したがって,数値シミュレーションによって最終的に得られた結果がどれくらい正しいかは問題依存であり,正しい結果とはまったく違ったシミュレーション結果が得られることもしばしばある.したがって,そのシミュレーション結果の精度がどのくらいあるかを示すことが非常に重要であり,精度保証付き数値計算は,その有用なツールとなりつつある.すなわち,数値計算による結果を数学的に厳密な誤差限界と共に与える精度保証付き数値計算をシミュレーションに適用する技術の発展は必須であろう.
我々は,精度保証付シミュレーション技術として,「再利用性」,「移植性」,「高速性」,「適応性」,「実用性」という条件を持つものが望ましいと考えている.近年の研究成果により,線形問題については上記の条件を満たす精度保証法が多くの場合に得られることが示された.このような方法が開発できたのは,「高速精度保証付き数値計算技術」及び「エラーフリー変換による高精度数値計算技術」という2つのブレークスルーによっているが,これらについては『数学セミナー, 特集:計算の品質―精度・誤差・効率, 2008年11月号(通巻566号)』などを参照されたい.
今後も,当研究委員会は,本学会が開催する学会大会や国際会議に積極的に参加していく.さらに,これまで以上に精度保証付シミュレーション技術の発展と普及を促進するため,意欲的に活動を継続していきたい.
シミュレーションニュースJSST 2012年1月27日号