「核融合・プラズマ及び関連分野の研究に関する可視化研究委員会」設立について
2022年 3月 吉日
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所 大谷 寛明
甲南大学 田村 祐一
兵庫県公立大学法人 兵庫県立大学 大野 暢亮
核融合発電はエネルギー問題と環境問題を根本的に解決することから、カーボンニュートラル実現の鍵となるエネルギー源と期待されている。欧州、米国、英国、韓国、中国では核融合エネルギー開発に関する各国独自の取り組みを2020年頃から一斉に加速しており、各国における核融合ベンチャーへの投資も活発化している。
プラズマ物理・核融合プラズマは多種多様で複雑な現象・データの宝庫である。例えば、プラズマ粒子と装置のスケールギャップは空間で〖10〗5、時間で〖10〗12もあり、微視的には粒子的描像で扱い、巨視的には流体的描像で扱われ、多階層性がある。プラズマ・光・物質が関連する複合物理系でもあり、乱流などのデータは多次元データである。このような多種多様なデータの解析には様々な可視化技術が必要である。また核融合炉は大規模でかつ様々な要素で構成される工学システムである。その運用には、シミュレーションのサイバー空間と装置やセンサーのフィジカル空間の融合が不可欠で、サイバー空間からフィジカル空間へのAR/MRによるフィードバックなど、サイバー空間とフィジカル空間の融合には可視化が重要な役割を果たす。
これまで核融合科学研究所は一般共同研究(研究会)としてVR可視化に関する研究会を15件程度の発表と30名程度の参加者で毎年1回開催してきた。研究者の研究発表や意見交換を行い、また、若手研究者や若手も多く参加して、若手育成や若手間のネットワーク形成にも貢献している。
このような状況に鑑み、先進的な可視化技術の基盤についてインフラとする技術情報及び活用ノウハウの調査及び研究を行うため、このたび日本シミュレーション学会に「核融合・プラズマ及び関連分野の研究に関する可視化研究委員会」を発足させる。多種多様で複雑なデータを可視化で解析する研究手法の開拓はシミュレーションデータを扱う学会にとっても有効である。本委員会は先述の研究会の実績を踏まえ、「核融合・プラズマ」及び関連事象の可視化研究者と、可視化を支える基盤技術を研究・開発している研究者と技術者など、アカデミアと産業界の研究者・技術者のオープンな交流の場へと拡張させ、そこで得た知見を社会に発信することを狙いとしている。より多くの参加者を募り活発な交流の場とするため、本委員会への参加は学会員の資格を問わないこととする。
【研究分野】
核融合・プラズマ及び関連事象の可視化研究
可視化の表現法や基盤技術に関する研究
【参加メンバー】
研究会委員長:
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
ヘリカル研究部基礎物理シミュレーション研究系 准教授
大谷 寛明
幹事:
甲南大学 知能情報学部知能情報学科 教授
田村 祐一
幹事:
兵庫県公立大学法人 兵庫県立大学大学院 情報科学研究科 教授
大野 暢亮
【活動内容・頻度】
年2回の研究会の開催を行う
【参加資格や参加方法】
本委員会への参加は学会員の資格を問わない。研究会開催の都度に参加を募る。
【連絡先】
〒509-5292 岐阜県土岐市下石町322-6
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所
ヘリカル研究部基礎物理シミュレーション研究系
大谷寛明
E-mail:ohtani.hiroaki※nifs.ac.jp ←※を@マークにしてください
または、学会事務局 office※jsst.jp まで ←※を@マークにしてください